『穴 Holes』

2018.8.29
夏休みも終盤。宿題は終わりましたか?
「これから大変なんだ。学校の宿題かたずけなくちゃ。」
なんて言う声も教室ではそこここで聞かれますが。
夏休みの宿題で必ず出る読書感想文、アウトプットの良い訓練ですね。
6年生のある帰国子女の生徒が、英語で書いた感想文を持って来ました。
日本語作文への細かなニュアンスの指導を受けたいためです。
読んだ本のタイトルは『穴 HOLES』(ペーパーバック版)
アメリカの作家ルイス・サッカーによるジョブナイル小説で、
1998年初版が出版されるとたちまち全米で350万部のベストセラーとなり、
2003年にはディズニーによって映画化もされました。
この一冊を廻り、私達はたくさんの考察をしました。
●著作がベストセラーになった当時のアメリカの社会事情。
●とりわけアメリカのティーンエイジャーに何が起こっていたか。
●アメリカの文化的背景 など、
考察は社会(歴史)・比較文化・精神論(宗教観)に及びました。
一冊の本は、その一冊だけで、私達をいろいろな世界へ連れて行ってくれるものです。
彼女の草稿は、あっという間に原稿用紙にして十枚以上になりました。
彼女の場合は、日本語の言回しと同時に日本の習慣と文化事情を知る必要もありますから、
当然、感想文も英語でのそれとは別のものになって行きました。
勇気と希望と夢を与える児童文学。
キラキラのロマンとファンタジーが私達を永遠の少年少女にさせ、
読語めちゃくちゃ元気になる。
なるほど、このエネルギー故にこの著作はベストセラーとなり、
ディズニーも現代版ファンタジーとして映画化したのでしょう。
アメリカ中の子ども達が、虚無や諦め・痛みと怒りを抱えながらの穴掘りルーティンから飛び出して、
「ビック・サム(神の親指)」 の山頂を目指す冒険の旅に出た主人公のスタンリーと共に
ハラハラ・ドキドキ・ワクワクし、彼にエールを送り、そして彼に 勇気をもらったことでしょう。
『苦難を超えてこそ、何人も犯すことのできない宝を得る人生の醍醐味』 を知ってほしい、
と、著者ルイス・サッカーは祈りを込めて この作品を世に送り出したに違いありません。
真夏の昼下がり、直射を避けて 文字の織り成す世界に浸り、
文字を紡ぐ作業に遊んだ あの小学生の頃の夏休み・・・・・